60代からの投資に対して、遅いと感じる方も多いかもしれません。しかし、年金だけに頼るリスクや、今後のインフレを考慮すると、60代からの投資はむしろ重要な対策となるでしょう。この教育的な記事では、60代からの投資に必要な知識や、どのような資産運用が有効かを解説していきます。
1. 60代からの投資は遅すぎる？
「60代から投資を始めるのは遅すぎる」という意見をよく耳にしますが、実際には投資を始めるのに遅すぎるということはありません。特に、近年のインフレの進行により、現金の価値が徐々に目減りしている現実を無視できません。例えば、物価上昇率が2%のペースで進んだ場合、30年後には現金の価値が半分以下になってしまうことも考えられます。したがって、60代でも資産の一部を投資に振り分けることが賢明な選択となります。
2. インフレと現金のリスク
物価上昇は年々進行しています。例えば、2020年を基準とした消費者物価指数は109に達し、実質的に物価が9%以上上昇しています。このようなインフレ下では、現金をただ保有しているだけでは、実際の購買力が低下してしまいます。
過去の日本ではデフレが続いていたため、現金保有は安全とされてきました。しかし、現在はインフレ時代に突入しており、現金だけではなく、投資によってリスクを分散する必要性が高まっています。
3. キャッシュフローのある資産と取り崩し戦略
60代以降の投資においては、資産形成の段階と、資産を効率的に取り崩す段階の両方が重要です。本書で紹介されている投資戦略では、以下の2つの要素を組み合わせることが推奨されています。
キャッシュフローのある資産: 高配当株や債券、リートなど、定期的な配当や利息を得られる資産を保有することで、安定した現金収入を確保する。
取り崩し戦略: 資産の一部を定期的に取り崩す際には、資産の価値が高い時に多く取り崩し、価値が低い時には少なく取り崩す「定率取り崩し」を前半に採用し、後半では「定額取り崩し」に移行することで生活費を賄う。
このような戦略により、資産を効果的に使い切り、老後も余裕を持って生活を送ることができます。
4. NISAのメリットとリスク
NISA（少額投資非課税制度）は、投資利益に対する税金が免除される非常に有利な制度です。特に年金だけでは将来的に不安がある場合、NISAを活用することで、非課税のまま資産を増やすことができます。
ただし、NISAにおけるリスクも考慮する必要があります。株式市場の暴落時には、どれだけ優良な銘柄を選んでも短期的には大きく資産が減少する可能性があるため、長期的な視野で市場の回復を待つ覚悟が必要です。
5. 選ぶべき資産
60代からの投資では、安定した収入を得ながら資産を守ることが重要です。本書では、次のような資産をおすすめしています。
高配当株: 定期的な配当を得られる株式。日本では三菱商事やKDDIなどが人気で、利回りが高く、長期的に安定した配当が期待できる銘柄です。
債券やリート: 株式に比べてリスクが低く、定期的な収入を得られる資産。特にリート（不動産投資信託）は、不動産からの安定した賃料収入を得られるため、資産分散に適しています。
ファンズ（ソーシャルレンディング）: 利回りが2〜3%と高めでありながら、円建てのため為替リスクがない点が魅力です。定期的に安定した収入を得られる選択肢としても注目されています。
まとめ
60代からの投資は決して遅くありません。年金だけに依存せず、インフレや将来のリスクに備えるために、キャッシュフローのある資産を持ち、適切な取り崩し戦略を実践することで、安心して老後を過ごすことができます。NISAの活用や資産選びを慎重に行い、長期的な視野で資産を運用することが重要です。
最後に、自分に合った投資スタイルを見つけ、無理のない範囲で資産形成を進めましょう。